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なるほど熱処理|熱処理と焼入れ?焼き戻し?焼きなまし?焼きならし

なるほど熱処理|熱処理と焼入れ?焼き戻し?焼きなまし?焼きならし

更新日時:
2021/09/11 (2020/12/21 公開) 編集者:甲斐 智
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冶金 | 塑性加工 | 鋳造 | 除去加工 |
       

熱処理とは、 金屬を加熱し冷卻することで素材の特性を変化 させ、硬さ(硬度)や 粘り(じん性)を持たせる処理方法です。

金屬加工の現場では、加工の目的に応じて「焼入れ」や「焼き戻し」などのさまざまな熱処理が行われています。

この記事では金屬加工の現場で使われる「熱処理」の種類や、熱処理で使われる試験機を紹介します。

熱処理とは|混同しがちな「焼きなまし」と「焼きならし」の違いも解説しています!
混同しがちな「焼きなまし」と「焼きならし」の違いも解説しています!

熱処理とは?オーステナイトとマルテンサイト

熱処理とは|熱処理とは?オーステナイトとマルテンサイト
引用元:ねずみ鋳鉄パーライト|Leica Microsystems

熱処理では、加熱溫度や冷卻速度の違いによって組織が大きく変化。
金屬の組織は、過熱することで「オーステナイト」に変化し、冷卻することで「マルテンサイト」が形成されます。

熱処理とは|熱処理とは?オーステナイトとマルテンサイト
引用元:東京工業大學|マルテンサイト逆変態を利用した鉄鋼材料の革新的組織制御

「オーステナイト」と「マルテンサイト」の2つの狀態は、熱処理後の金屬の特性に大きく関わっています。

オーステナイト 金屬の結晶が大きく粗い = やわらかく?粘り強い金屬になる
マルテンサイト 金屬の結晶を小さく緻密 = 硬く?もろい金屬になる

熱処理の分類

熱処理とは|熱処理の分類

熱処理は、「焼入れ」「焼き戻し」「焼きなまし」「焼きならし」の4つに大きく分類されます。
加工の目的や加工工程に応じて、使い分けされています。

〈熱処理の分類〉
焼入れ 金屬を「硬く」する
焼き戻し 金屬を「粘り強く」する
焼きなまし 金屬を「やわらかく」する
焼きならし 金屬の組織を「整える」

焼入れ(熱処理)

熱処理とは|焼入れ(熱処理)

焼入れは、金屬を「硬く」するための熱処理です。

金屬を加熱し「オーステナイト」に変化させた後、急速冷卻することで「マルテンサイト」が形成され、金屬結晶が小さくなります。
焼入れ後は非常に硬くなりますが、粘り(じん性)のないもろい金屬となります。

焼入れには、用途にあわせてさまざまな方法があります。

Memo
サブゼロ処理について
鋼材を常溫冷卻した場合、オーステナイトが內部に殘り(殘留オーステナイト)、時間とともにマルテンサイトが形成される場合があります。
殘留オーステナイトは完成品の寸法精度に悪影響を及ぼすため、焼入れ直後に0℃以下(サブゼロ)に冷卻する必要があります。
リニアガイドやベアリングなど、精密機器の部品加工にはかかせない処理です。

水焼入れ

水で冷卻する焼入れ処理です。
冷卻速度が速く、より硬い金屬となります。

油焼入れ

油で冷卻する焼入れ処理です。
冷卻速度が遅く、硬さムラや不良(焼きワレ)の発生を防止します。

高周波焼入れ

高周波の電磁波による電磁誘導を利用する焼入れ処理です。
表面を急速に過熱するため、表面は硬化し內部には粘り(じん性)が殘ります。

熱処理とは||高周波誘導加熱裝置による工作機械ベッドの焼入れ
高周波誘導加熱裝置による工作機械ベッドの焼入れ

高周波焼入れされた金屬は、耐疲労度と耐摩耗性に優れます。

焼き戻し(熱処理)

熱処理とは|焼き戻し(熱処理)

焼き戻しは、金屬を「粘り強く」するための熱処理です。
焼入れでもろくなった金屬をもとに「戻す」ため、焼き戻しとよばれています。

焼入れとセットで行われ、マルテンサイトが形成された金屬を再加熱することで、金屬の粘り(じん性)を調整することができます。
また內部応力(金屬の內部に殘ったひずみ)を除去することができます。

焼き戻しには、用途にあわせてさまざまな方法があります。

低溫焼き戻し

硬さ(硬度)を優先させた焼き戻し処理です。
鋼の場合 約200℃付近で熱処理し、再冷卻します。

高溫焼き戻し

粘り(じん性)を優先させた焼き戻し処理です。
鋼の場合 約650℃付近で熱処理し、再冷卻します。

焼きなまし(熱処理)

熱処理とは|焼きなまし(熱処理)

焼きなましは、金屬を「やわらかく」するための熱処理です。
加工前に焼きなましをして金屬をやわらかくすることで、加工性を高めます。

金屬を電気爐で加熱し「オーステナイト」に変化させ、そのまま一定時間加熱した後、爐に入れたままゆっくり放冷します。
時間をかけて冷卻することで金屬結晶が大きくなり、やわらかい金屬組織へと変化します。

焼きなましには、用途にあわせてさまざまな方法があります。
焼きなましは「焼鈍(しょうどん)」ともよばれます。

完全焼なまし

完全焼なましは、一般的に行われている焼きなましです。
冷間鍛造切削加工前に金屬をやわらかくすることで、加工性を高めます。

中間焼なまし

中間焼なましは、加工の途中で行われる焼きなましです。
鍛造絞り加工などの中間工程で行い、加工硬化によるワレや破斷を防止します。

ひずみ取り焼なまし

ひずみ取り焼なましは、內部応力(金屬の內部に殘ったひずみ)を除去する焼きなましです。
鋳造圧延で発生した「內部応力」を取り除くことで、加工性を高めます。

焼きならし(熱処理)

熱処理とは|焼きならし(熱処理)

焼きなましは、金屬の組織を「整える」ための熱処理です。

金屬を加熱し「オーステナイト」に変化させた後、そのまま空気中で放冷(空冷)します。
(焼きなましよりも、はやく冷やします)

焼きなましをすることで、熱処理?ひずみなどの影響をリセットし、不安定になった金屬をもとの性質に戻すことができます。

大きい材料の場合、冷卻時に表面と內部に溫度差が出るため「二段焼きならし」や「二重焼ならし」などの処理も行われます。

焼きならしは「焼鈍(しょうじゅん)」ともよばれます。

熱処理による結晶粒微細化

熱処理とは|熱処理による結晶粒微細化
引用元:國立研究開発法人物質?材料研究機構(NIMS)|鉄鋼材料の組織微細化

鉄鋼材料を高度を強化する手法のひとつに、熱処理による結晶粒微細化があります。

結晶粒微細化では、適切な溫度で大ひずみ加工(金屬に応力を與える)をすることで結晶粒徑が小さくなり、鉄鋼の強度が大幅に向上します。

結晶粒の微細化:
結晶粒の微細化は、結晶の大きさを小さくすることで強度を上げる手法です。
…(中略)…
結晶粒の微細化には強加工を行いひずみを無數に入れた後に熱処理により微細な結晶を新た作り出す方法や鋼の場合は焼き入れ焼き戻しの熱処理が用いられています。
引用元: 滋賀県東北部工業技術センター|金屬のいろは

熱処理で使われる試験機

熱処理とは|現場で使われているX線応力測定裝置
現場で使われているX線応力測定裝置

硬さ測定には「硬さ試験機」が使われます。

よく使われる硬さの指標には、「ブリネル硬さ」「ロックウェル硬さ」「ビッカース硬さ」「ショア硬さ」の4種類があります。

焼入れ?焼き戻しの硬さ測定には、JIS規格に準拠した「ロックウェル硬さ試験機」が主に使われます。

ロックウェル:
主に熱処理を施した鉄鋼材料の硬さ測定に利用されます。測定が簡便で測定者による誤差要因が少ないのが特徴です。
引用元: 硬さ試験の分類|滋賀県工業技術総合センター

ロックウェル硬さ試験機

熱処理とは|
引用元:ロックウェル|滋賀県工業技術総合センター

ダイヤモンド先端子を材料に押しつけ、その「痕」の深さから硬さを測定します。
焼入れ?焼き戻し後の硬さ測定に、多く使われます。

熱処理とは?まとめ

この記事では、金屬加工の現場で使われる「熱処理」の種類や、熱処理で使われる試験機を紹介しました。

焼入れでは、ひずみやワレを防ぐ「マルテンパー」や、じん性に富んだ「オーステンパー」など、ここでは紹介しきれないさまざまな熱処理技術が開発されています。

この記事が、金屬加工の熱処理を知るきっかけとなればうれしいです。

〈 熱処理の関連キーワード〉

冶金 塑性加工 鋳造 除去加工

この記事の編集者?プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大學修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界?FA業界のWebマーケティングに攜わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科學省「學校と地域でつくる學びの未來」參加企業

所屬
SNS?運営サイト

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