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なるほど金屬加工|自動車部品でみる金屬加工の事例と金屬加工の種類

なるほど金屬加工|自動車部品でみる金屬加工の事例と金屬加工の種類

更新日時:
2021/10/10 (2020/05/29 公開) 編集者:甲斐 智
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プレス機械 | まとめ | 付加加工 | 冶金 | 塑性加工 | 工作機械 | 鋳造 | 除去加工 |
       

「金屬加工」は、金屬を「原料」から「製品」に加工する一連の技術です。

自動車部品をはじめ家電や電子機器など、 身の回りの身近な金屬製品 にはすべて金屬加工が施されています。

近年では工業製品の進化によって、もとめられる金屬製品もますます小さく高精度に。
新興國に負けない低価格?短納期に応えるために、さまざまな金屬加工技術が開発されています。

この記事では、鉄鉱石などの金屬のかたまりが工業製品になるまでのながれを通して、「金屬加工」の種類や自動車業界での加工事例を紹介します。

工作機械と金屬加工について|金屬加工の現場では、さまざまな加工機械が使われています!
金屬加工の現場では、さまざまな加工機械が使われています!

金屬加工の分類

工作機械と金屬加工について|金屬加工の分類

金屬加工法は、おおきく「1.除去加工」「2.非除去加工」「3.付加加工」に分けることができます。
加工材料の材質や目的の精度、生産量によってさまざまな方法が使い分けられます。

〈金屬加工の分類〉
1.除去加工 刃物や電気エネルギーなどで、金屬を削り取ります
2.非除去加工 鋳造(ちゅうぞう):金屬を溶かして堅めます
冶金(やきん):金屬を圧縮して堅めます
塑性加工(そせい):金屬に力を加えて変形させます
3.付加加工 3D金屬プリンターを使い、金屬を付け加えます

◎工作機械を使った加工は、単に「機械加工」ともよばれます

金屬加工の種類!金屬から製品ができるまで

① 金屬の「原料」から、金屬素材をつくる

工作機械と金屬加工について|金屬の「原料」から、金屬素材をつくる
寫真は、アルミニウムの鋳塊(インゴット)

鉄鉱石やアルミなどの金屬原料を高溫で溶かし、鋳塊(ちゅうかい)とよばれる金屬素材を鋳造(ちゅうぞう)します。
鋳塊は「インゴット」ともよばれ、あらゆる金屬製品のもとになる金屬のかたまりです。

鋳造法によっては、精度の高い鋳物(いもの)が得られ、そのまま最終製品として使われます。

ちいさな機械部品などは、粉末冶金(ふんまつやきん)でつくられるものもあります。

鋳造とは

工作機械と金屬加工について|鋳造とは

鋳造(ちゅうぞう)は、製錬された金屬原料を熱で溶かし「鋳型(いがた)」に流し入れ冷やし固める金屬加工法です。

紀元前4000年ごろから行われている最古の技法で、複雑なカタチの部品を一體成型することができます。

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粉末冶金とは

工作機械と金屬加工について|粉末冶金とは

粉末冶金(ふんまつやきん)は、原料の金屬粉を金型に入れ「プレス機械」で圧縮して焼き堅める金屬加工法です。

粉末冶金でつくられた金屬は強度が高く、最終製品や切削工具の材料としても使われます。

タングステンやモリブデンなどの高融點材料を使った機械部品や、セラミック製品などの加工に広く取り入れられています。

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② 金屬の「素材」から、金屬材料をつくる

工作機械と金屬加工について|金屬の「素材」から、金屬材料をつくる
工場に積まれたビレット

金屬素材から、鋼片(こうへん)とよばれる金屬材料をつくります。

鋼片は鋳造工程で圧延され、カタチによって「棒材用のビレット」「形鋼用のブルーム」「板材用のスラブ」に分けられます。

ビレットはさらに「塑性加工」をへて、棒材?線材?板材?形材?管材とよばれる半製品に加工され、自動車部品や機械部品の材料になります。

塑性加工とは

工作機械と金屬加工について|塑性加工とは

塑性加工(そせいかこう)は、プレス機械を使って金屬におおきな力を加えて変形させる金屬加工法です。

金屬の塑性(ある力以上で変形させると、もとに戻らない性質)を利用して金屬を加工します。

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③ 金屬の「材料」から、完成品をつくる

工作機械と金屬加工について|金屬の「材料」から、完成品をつくる

金屬材料は「加工ワーク」とよばれ、さまざまな機械によって加工され製品が完成します。
主に塑性加工?除去加工?付加加工などの金屬加工や、焼入れなどの熱処理が行われます。

除去加工とは

工作機械と金屬加工について|除去加工とは

除去加工は、金屬の不要な部分を工作機械で取り除く金屬加工法です。
機械加工やバリ取り工程を経て、最終製品が完成します。

フライス?旋削(せんさく)?研削?研磨などさまざまな加工方法があり、精度の高い複雑な加工が可能です。

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付加加工とは

工作機械と金屬加工について|付加加工とは

付加加工は、AM技術(Additive Manufacturing)とよばれる加工技術です。
代表的な技術に「金屬3Dプリンター」を使った、積層造形があります。

金屬3Dプリンターは、金屬粉をレーザで焼き固めて造形し、切削加工で所定のカタチに仕上げる工作機械

破損した金屬部品の修理や、切削加工では再現できな3D構造の加工にも応用でき、新しい金屬加工のカタチとして、注目されています。

熱処理とは

工作機械と金屬加工について|熱処理とは

熱処理とは、 金屬を加熱し冷卻することで素材の特性を変化 させ、硬さや粘りを持たせる処理方法です。

金屬加工の現場では、加工の目的に応じて「焼入れ」や「焼き戻し」などのさまざまな熱処理が行われています。

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金屬加工の歴史

工作機械と金屬加工について|金屬加工の歴史

金屬加工の歴史は、鉱石から不純物を取り除く「精錬技術」の発見からはじまるといわれています。

紀元前4,000年の古代エジプト文明では、金屬をハンマーでたたいて加工する「鍛造(たんぞう)」が裝飾具に施され、やがて金屬を溶かして金型に流し固める「鋳造(ちゅうぞう)」へ発展。

そして18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命にともない、プレス加工など大量生産による近代化が急速に進みました。

工作機械と金屬加工について|
QSMM 3204sc?CC BY 3.0
この畫像は、クリエイティブ?コモンズ(CC)のもと再編集されています

日本では古墳時代に朝鮮半島より鍛治(かじ)技術が入ると、農具や刀剣、鉄砲などの武器などがつくられるように。
平安時代には日本獨自の刀鍛冶技術が生まれ、現在の精密鍛造につながっています。

金屬加工でみる!自動車部品の加工事例

工作機械と金屬加工について|金屬加工でみる!自動車業界の加工事例

自動車は「金屬加工」のかたまりです。

自動車の運動性能や燃費?耐環境性能をあげるためには、精度の高い金屬加工がかかせません。
自動車にはおよそ2萬點の部品が使われており、ミクロン単位の加工精度がもとめられます。

品質の高いメイドインジャパンの自動車部品は、世界でも高いシェアを誇っています。

金屬加工の事例:エンジン、ミッション部品

工作機械と金屬加工について|金屬加工の事例:エンジン、ミッション部品

エンジンのシリンダーやピストン、変速機やステアリングなど。
塑性加工除去加工を経て、精度の高い部品がつくられています。

金屬加工の事例:シャフト部品

工作機械と金屬加工について|金屬加工の事例:シャフト

動力を効率よく伝えるためのシャフト部品などの加工には、精度の高い研削加工技術がもとめられます。

金屬加工の事例:タイヤ

工作機械と金屬加工について|金屬加工の事例:タイヤ

ゴム素材を金型に流し込み、成形します。
タイヤ金型の製作には、精度の高い切削加工技術がもとめられます。

金屬加工の事例:ブレーキ部品

工作機械と金屬加工について|金屬加工の事例:ブレーキ部品

ブレーキキャリパーやABS部品など、溶解金屬を金型に流し込み鋳造します。
強度の高い部品をつくるため、高い技術がもとめられます。

金屬加工の事例:ボディー外裝

工作機械と金屬加工について|金屬加工の事例:ボディー外裝

ボディシェルとよばれるボディー外裝の金屬は、ロール狀の鋼板を伸ばし、プレス機械で切斷し成形されます。

素材には、ボディの肉薄化や表面強化のためハイテン材とよばれる素材が使われます。
ハイテン材(高張力鋼)は、強度を保ちながら軽量化を図れる特殊な鋼です。

金屬加工の事例:EV(電気自動車)

工作機械と金屬加工について|金屬加工の事例:EV(電気自動車)

EV技術?電気自動車の普及にともない、「部品の軽量化」もあらためて注目されています。

自動車の軽量化は、運動性能だけでなく燃費の向上につながることから、一部の部品には軽量なアルミ部品も採用され、素材の改良や加工技術の開発も進んでいます。

金屬加工でつくられる、身の回りの身近な金屬製品

工作機械と金屬加工について|金屬加工でつくられる、身の回りの身近な金屬製品

私たちの身の回りの身近な製品には、すべて金屬加工が施されています。

自動車や電子機器?家電?スマホ?建材?裝飾品?文具?家具など、金屬加工が関わらない製品はありません。

プラスチックやペッドボトルなどの樹脂製品でも、その成形に使われる金型加工には高い技術がもとめられます。

身の回りの金屬加工例(電子機器の身近な金屬製品)

工作機械と金屬加工について|身の回りの金屬加工例(電子機器の身近な金屬製品)

スマートフォンやパソコンをはじめとしたIT機器は、軽量?コンパクト?高性能化など日々進化。

5G(第5世代移動通信システム)やIoTの拡大によって、半導體?センサ?カメラなどの「電子部品」の高精度化も進んでいます。

これらの部品の高度化ニーズを背景に、NC工作機械などの金屬加工機械も進化しています。

〈金屬加工例〉

  • スマートフォン本體の切削加工
  • ハードディスクケースの切削加工
  • 電子部品の金型加工
  • 液晶ディスプレイの金型加工
  • 超小型レンズの微細加工
  • マイクロチップの微細加工

こうした金屬加工技術は、內視鏡などの「醫療分野」や「宇宙開発」などの先端技術にも応用されています。

身の回りの金屬加工例(家電?住宅の身近な金屬製品)

工作機械と金屬加工について|身の回りの金屬加工例(家電?住宅の身近な金屬製品)

家電などの「身のまわり」の生活必需品にも、金屬加工が施されています。

これらの部品の多くは、耐久性や耐食性に優れたステンレス?亜鉛めっきや、デザイン性が高く軽くて加工しやすいアルミニウムなどの素材が使われています。

〈金屬加工例〉

  • 冷蔵庫本體のプレス加工
  • 電子レンジ本體の板金加工
  • エアコン本體の金型加工
  • ステンレスシンクの成形および金型加工
  • バスタブの成形および金型加工
  • 建材部品の金型加工

家電製品の金屬加工技術では「大量生産」だけでなく「リサイクル」のしやすさなど、地球環境の保護を考慮した新たなニーズも高まりつつあります。

金屬加工機械の種類

金屬加工の現場では、約200~300種類もの金屬加工機械が使われています。
それぞれの工程に応じて、さまざまな機械を組み合わせながら金屬加工を行います。

工作機械の種類:
総務省の「日本標準商品分類」によると、「金屬加工機械の種類」は、中分類、小分類及び細分類まで分類されており、細分類ではその用途によって約300種類と非常に多くの種類に分けられています。
引用元: 日本工作機械工業會「工作機械の種類と加工方法」

NC工作機械とは(金屬加工)

工作機械と金屬加工について|NC工作機械とは

NC工作機械は、除去加工のための加工機械です。
金屬の不要な部分を取り除き、目的のカタチに仕上げます。
工作機械を使った加工を、機械加工とよぶこともあります)

自動車や航空機の部品をはじめ、金型や電子部品の加工など、あらゆるものづくり産業の基盤となっています。

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プレス機械とは(金屬加工)

工作機械と金屬加工について|プレス機械とは

プレス機械は、プレス加工のための加工機械です。

金屬の板材(ブランク)を「金型」に挾み、強い力をかけることで製品を成形。
加工速度が速く、おなじ部品の大量生産に向いています。

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金屬加工のお役立ち展示會

工作機械と金屬加工について|金屬加工の展示會

金屬加工?工作機械の業界では、毎年さまざまな展示會が開催。

展示會では「NC工作機械」はもちろん、プレス機械?ツーリング?切削工具?センサなど、金屬加工のあらゆる最新技術が日本中から集まります。

金屬加工とは?まとめ

この記事では、金屬のかたまりが金屬製品になるまでのながれをもとに「金屬加工」の種類や、自動車業界での加工事例について紹介しました。

近年では金屬加工技術の向上だけでなく、作業者の負擔を減らした製造工程やリサイクルしやすい素材?技術開発など、地球環境の保全を目指す「サステナブルな社會づくり」への対応も進んでいます。

今後、金屬加工も時代のニーズに合わせた進化や技術革新が期待されています。

〈 金屬加工の関連キーワード〉

プレス機械 まとめ 付加加工 冶金 塑性加工 工作機械 鋳造 除去加工

この記事の編集者?プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大學修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界?FA業界のWebマーケティングに攜わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科學省「學校と地域でつくる學びの未來」參加企業

所屬
SNS?運営サイト

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