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プレス機械とは|油圧プレスからサーボプレスまでプレス機械を解説

プレス機械とは|油圧プレスからサーボプレスまでプレス機械を解説

更新日時:
2021/09/11 (2020/07/09 公開) 編集者:甲斐 智
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プレス機械は「プレス加工」のための機械です。

金屬の板材を「金型」に挾み、強い力をかけることで製品を成形。
加工速度が速く、 おなじ部品の大量生産 に向いています。

多彩なプレス機械を組み合わせることで、複雑なカタチの成形もでき、切る?抜く?曲げるなどさまざまな工程で使われています。

加工精度は機械と金型の精度で決まるため、作業者の熟練を要しません。

自動車業界をはじめ、「金屬加工」を代表する機械として、世界中で広く使われています。

この記事では、生産現場で実際に使われているプレス機械の種類や、「C型プレス」「サーボプレス」などさまざまなプレス機械の分類を解説しています。

金屬加工とプレス機械について| プレス加工は、日本が誇るものづくり技術のひとつです!
プレス加工は、日本が誇るものづくり技術のひとつです!

プレス加工の現場で活躍しているプレス機械

プレス機械には、汎用プレスから「せん斷」や「曲げ」に特化した専用プレスまで、さまざまな種類があります。

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この記事では「プレス加工」で使われるプレス機械についてまとめています。
(鍛造プレスや鍛造ハンマーなどの鍛圧機械は、「鍛造機械」をご覧ください)

汎用プレス機械

金屬加工とプレス機械について|汎用プレス機械

もっとも一般的なプレス機械です。
金型を交換することで、さまざまなプレス加工ができます。

自動プレス機械

金屬加工とプレス機械について|自動プレス機械

長時間の稼動や無人の自動加工には、自動プレス機械が使われます。

高速精密プレス

高速精密プレスは「順送り加工」で使われる、自動プレス機械です。

加工內容によっては、5,000spm(毎分5,000回)の超高速プレスが可能。
ストレートサイド型(門型)で、高い精度と剛性をもっています。

金屬加工とプレス機械について|高速精密プレス

機械の振動を防止するバランス裝置や精度の高い送り裝置を備え、リードフレーム?コネクタ?スイッチなど、精密電子部品の量産で使われています。

ダイイングプレス(ダイイングマシン)

ダイイングプレスは「順送り加工」で使われる、自動プレス機械です。
300spm(毎分300回)~の、高速連続プレスができます。

圧力能力600kN以下と小型の機械が多く、コストが低いのが特徴です。
ストレートサイド型(門型)で、高い精度と剛性をもっています。

金屬加工とプレス機械について|ダイイングプレス(ダイイングマシン)

従來のプレス加工とは逆の「アンダードライブ方式」のため、重心が低く精度が安定。
小型の電子部品や、半導體フィルム?プラスチック素材などのプレス加工にも使われています。

トランスファープレス

金屬加工とプレス機械について|トランスファープレス

トランスファープレスは、「トランスファー加工」で使われる、自動プレス機械です。

板材をトランスファーフィーダで送りながら、複數の金型で自動プレス。
大型の機械が多く、ストレートサイド型(門型)で、高い精度と剛性をもっています。

自動車部品など、さまざまな自動プレスで使われます。

金型調整に使うダイスポッティングプレス

ダイスポッティングプレスは、ダイ(金型)の調整に使われる専用のプレス機械です。
量産前の金型の型合わせをすることで、噛み合い不良による破損を未然に防ぎます。

金型を定期點検し修正することで、精度の高いプレス加工が実現します。

専用プレス機械

金屬加工とプレス機械について|専用プレス機械

プレス加工の內容に応じた、専用のプレス機です。

シャーリングマシン
せん斷加工で使われる、専用プレス機械
「シャーリングマシン」について解説
タレットパンチプレス(タレパン)
打ち抜き加工?穴あけ加工で使われる、専用プレス機械
「タレットパンチプレス」について解説
プレスブレーキ(ベンディングマシン)
曲げ加工で使われる、専用プレス機械
「プレスブレーキ」について解説
ファインブランキングプレス(FBプレス)
精密せん斷加工で使われる、専用プレス機械
「ファインブランキングプレス」について解説
スピニング加工機
スピニング加工で使われる、専用プレス機械
「スピニング加工機」について解説
フォーミングマシン
フォーミングで使われる、専用プレス機械
「フォーミングマシン」について解説

その他のプレス機械(鍛圧機械)

金屬加工とプレス機械について|そのほかのプレス機械(鍛圧機械)

プレス機械にはその他にも、「鍛圧(たんあつ)機械」とよばれるさまざまな種類があります。

これらの機械は、プレス機械とおなじように「圧力」を使って金屬を加工する機械ですが、ビレット(厚い金屬材料)を加圧するため、より高い機械強度がもとめられます。

そのため、一般的なプレス機械とは區別されています。

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プレス機械の分類 ~駆動編~

プレス機械は「ラム(駆動部)」をさまざまな動力でスライドさせることで、圧力をかけます。

プレス加工では、「金型」を押しつける時間が長いほど成形が安定します。
(この現象を形狀凍結といいます)
そのため「下死點(スライドの最下點)」での加圧時間が長くなるよう、さまざまな工夫がされてます。

プレス機械は、駆動の動力によって4つ種類に分けられます。

機械プレス

金屬加工とプレス機械について|機械プレス

機械プレスは、フライホイールの回転を「ラム」のスライド運動に換えて圧力をかけるプレス機械です。

1回ごとの圧力量が決まっているため、任意の位置でスライドを止めることはできません。
加工スピードがはやく生産性が高いため、プレス機械の全體の約90%を占めます。

油圧式にくらべメンテナンス性が高く、液漏れの心配もありません。

機械プレス:
電動モータによる回転運動を、機械的機構によりスライドの直線運動に変えて、金型を介し素材を成形するプレスです。
引用元: 日本鍛圧工業會「鍛圧機械とは?-プレス機械」

液圧プレス

金屬加工とプレス機械について|油圧プレス

液圧プレスは、油圧や水圧で「ラム」をスライドさせ圧力をかけるプレス機械です。
現場では、油圧による「油圧プレス」が広く使われています。

小ロットのおおきな製品から大量生産のちいさな部品まで、はば広く使われています。

油圧プレスについて

「油圧プレス」は、油圧で「ラム」をスライドさせ圧力をかけるプレス機械です。
油圧バルブのコントロールで、加圧パターンや加圧量を制御することができます。

ストロークが長いため、おおきな「絞り加工」や「曲げ加工」に向いていますが、機械プレスにくらべ加圧スピードは遅くなります。
(1~10mm/s 程度)

油圧プレス:
機械プレスではできない特殊な分野で活躍しています。ほとんどが油圧作動プレスです。
引用元: 日本鍛圧工業會「鍛圧機械とは?-プレス機械」

水圧プレスについて

「水圧プレス」は、水圧で「ラム」をスライドさせ圧力をかけるプレス機械です。

油圧プレスとくらべ、液體メンテナンスがかんたんでコストも低いため大型の機械が多くあります。
圧力能力10,000kN以上の超大型機械もあり、特大製品の成形もできます。

過熱による火災?事故などの心配がないため、熱間鍛造で使われます。

サーボプレス

金屬加工とプレス機械について|サーボプレス

サーボプレスは、サーボモータで「ラム」を直接スライドさせるプレス機械です。
サーボモータでスライドを駆動するため、加圧力や加圧量を精密に制御することができます。

スライドを「NC制御」することで、マグネシウムなどの難加工材や、複雑なカタチのプレスもできるようになります。

加圧スピードの制御による「生産性向上」と、加圧量の制御による「歩留まり低下」を両立。
IoTによる加工データの蓄積で、工場の自動化も実現します。

ハイブリッド式プレス(油圧サーボプレス)

「油圧」と「サーボモータ」を組み合わせたプレス機械です。
サーボモータで油圧ポンプを制御し、「ラム」をスライドさせます。

加圧力や加圧量を精密にコントロールしながら、油圧のパワーが発揮できます。

作動油や発熱も少なく、環境性能に優れたプレス機械です。

プレス機械の分類 ~フレーム編~

プレス機械は、本體のフレーム構造によってふたつに分けられます。

C型プレス

金屬加工とプレス機械について|C型プレス
金屬加工とプレス機械について|C型プレス

C型プレスは、「作業性」重視のフレーム構造です。
橫から見たカタチが「C」に似ていることに由來します。

加工エリアの左右と手前があいているため作業性がよく、単発プレス産業用ロボットによる「ロボットライン」に最適です。

構造がシンプルで低コストなため、小~中型のプレス機械に多く採用されています。
フレーム剛性は落ちるため、機械のゆがみ(口開き)に注意が必要です。

圧力能力2,500kNまでの機械が多いですが、高強度フレームを採用した機種もあります。

ストレートサイド型プレス(門型プレス)

金屬加工とプレス機械について|ストレートサイド型プレス(門型プレス)

ストレートサイド型プレスは、「剛性」重視のフレーム構造です。
「門型プレス」ともよばれます。

本體の四隅を柱で支えているため剛性に優れますが、加工エリアに柱があるため作業性は低下。
ゆがみに強いため、中~大型のプレス機械や「鍛造プレス」に多く採用されています。

C型プレスとくらべ、加工精度が高く、振動?騒音が少なくなります。

圧力能力2,500kN以上の機械が多くあります。

プレス機械の選び方 ~3つの能力~

金屬加工とプレス機械について|プレス機械の選び方 ~3つの能力~

プレス機械の選定は、「加圧能力」「トルク能力」「仕事能力」の3要素が重要になります。

プレス加工の內容によって最適な能力は変わります。

圧力能力

圧力能力は、プレス機械が耐えることのできる最大加圧量です。 
キロニュートン(kN)で表されます。

圧力能力を超える加圧は、機械のひずみや、金型の破損につながります。

プレス加工の內容にあわせて、余裕をもった選定が重要です。

トルク能力(能力発生位置)

トルク能力は、プレス機械のスペック上の加圧能力(公稱圧力)が発生する位置です。
金型の下死點(スライドの最下點)からの距離で表されます。

絞り加工」など、高い位置から加圧がはじまる加工で重要になります。

仕事能力

仕事能力とは、プレス1回のあたりの放出エネルギー量です。
キロジュール(kJ)で表されます。

放出エネルギーが多いほど、作業エネルギーの蓄積が必要です。

絞り加工」や「冷間鍛造」など、おおきなエネルギーを必要とする加工で重要になります。

プレス機械のスペックの見方

金屬加工とプレス機械について|プレス機械のカタログの見方

カタログスペックでは上記の3要素だけではなく、さまざまな仕様が記載されています。

ストローク長さ

ストローク長さは、スライドの稼働距離です。
プレス加工の內容によって、適切なストローク長さは変わります。

  • せん斷加工の場合:加工深さが淺いため、ストロークがみじかい機種が適します
  • 絞り加工の場合:加工深さが長いため、ストロークが長い機種が適します
  • トランスファー加工の場合:送り裝置が稼働するため、ストロークの確保が必要です

連続ストローク數

連続ストローク數は、無負荷狀態での、1分間のストローク回數です。
ストロークパーミニッツ(spm)で表されます。

ストローク長さがみじかいほどストローク數は上がり、生産性があがります。
連続プレス加工で重要になる能力です。

ダイハイト

ダイハイトは、ボルスター(加工テーブル)上面からスライドの下死點までの距離です。
金型の最大サイズ(高さ)の目安となる數値です。

ダイハイトを超える高さの金型は、取り付けできません。

スライド調節量

スライドの上下の調節可能量です。
調節量がおおきいほど、使える金型の種類が広がります。
ダイハイトからスライド調節量を引いた數値が、金型の最小サイズ(低さ)になります。

スライド面積

スライドの面積です。
金型(上型)を取り付けるために使われます。

ボルスター面積

ボルスター(加工テーブル)の面積です。
金型(下型)を取り付けるために使われます。

ボルスターへの局所的な加圧を防ぐため、金型の設置面積はボルスター面積の約2/3以上が目安となります。

プレス機械とは?まとめ

この記事では、生産現場で実際に使われているプレス機械の種類や、「C型プレス」「サーボプレス」などさまざまなプレス機械の分類について解説しました。

プレス機械は、作業者の熟練に頼らない安定した大量生産が魅力です。
しかし精度の高いプレスには、金型加工などエンジニアの高い技術がかかせません。

切削加工をせずに、いかに「ネットシェイプ」に近づけるかが、おおきなテーマになっています。
(ネットシェイプ:切削工程なしで、「最終製品」を成形する高精度成形技術)

プレス機械の仕組みを知ることで、プレス加工方法の選定の參考になればうれしいです。

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この記事の編集者?プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大學修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界?FA業界のWebマーケティングに攜わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科學省「學校と地域でつくる學びの未來」參加企業

所屬
SNS?運営サイト

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