はじめの工作機械 > 工作機械がわかる > せん斷加工とは|せん斷加工の特徴とせん斷のバリ?だれの仕組み
せん斷加工とは|せん斷加工の特徴とせん斷のバリ?だれの仕組み

せん斷加工とは|せん斷加工の特徴とせん斷のバリ?だれの仕組み

更新日時:
2021/11/16 (2020/06/29 公開) 編集者:甲斐 智
関連タグ:
プレス加工 | 塑性加工 |
       

せん斷加工は、金屬の板を切斷する「プレス加工」のひとつです。
プレス材料のブランクを切り出す 「プレス加工のはじめの工程」 といっても過言ではありません。

シンプルでわかりやすい加工方法ですが、ファインブランキングなどの精密せん斷技術の登場で、飛躍的に進化しています。

この記事では「せん斷加工」の種類や、せん斷の過程でできる「バリ」や「だれ」の仕組みを、図解をもとに解説します。

金屬加工とせん斷加工について|せん斷加工は、プレス加工を代表する加工方法です!
せん斷加工は、プレス加工を代表する加工方法です!

せん斷加工ってどんな加工?

せん斷加工は、金屬の板材を「パンチ」と「ダイ」とよばれる金型で切斷する塑性加工で、シャーリング加工(Shearing)ともよばれます。

板材の切斷から、打ち抜き?穴あけまで、目的にあわせてさまざまな加工があります。

金屬加工とせん斷加工について|せん斷加工ってどんな加工?

せん斷加工で使われる金型は、上型の「パンチ」と下型の「ダイ」に分けられます。

ブランク加工

穴あけ加工

  • 板材に「穴をあける」

コンパウンド加工

  • 「打ち抜き」と「穴あけ」の複合加工

トリミング加工

  • 板材の余肉を「切り落とす」

精密せん斷加工

さまざまなせん斷加工

ブランク加工とその種類

金屬加工とせん斷加工について|ブランク加工とその種類

プレス加工は、材料になる金屬の板を用意することからはじまります。
この前工程を「ブランク加工」とよび、切り出された板材は「ブランク」とよばれます。

(ブランク加工には、材料の洗浄や積み上げなどの一連の工程も含まれます)

切りはなされた金屬片は、余肉や抜きしろとして処理されます。

余肉とは?
板の押さえや、金型のキズ防止として利用される「金屬の余剰部分」です。
利用後は、仕上げ工程で切り落とされ、スクラップとして排出されます。

切斷加工(シャーリング加工)

金屬加工とせん斷加工について|切斷加工(シャーリング加工)

切斷加工は、金屬の板を「切斷」するブランク加工です。

プレス加工の前工程として、「コイル材」や「定尺材」を所定のサイズに切斷。
「切りはなした側」と「切り離された側」の両方が材料として利用されます。

ブランクのカタチは左右対稱となり、バリの方向は左右逆になります。

分割加工

金屬加工とせん斷加工について|分割加工

分割加工は、金屬の板を「分割」するブランク加工です。

切斷加工と似ていますが、切斷部にはばをもたせ、余肉をスクラップとして排出。
左右非対稱のブランクを同時に成形でき、バリの方向も左右おなじになります。

材料の切り出しだけでなく、プレス加工後の製品の切りはなしにも使われます。

打ち抜き加工(パンチング加工)

金屬加工とせん斷加工について|打ち抜き加工(パンチング加工)

打ち抜き加工は、金屬の板から所定のカタチを「打ち抜く」ブランク加工です。
プレス機械で金屬を打ち抜き、「打ち落とされた」金屬片が製品になります。

金型の上に殘った抜きしろ(周りの余肉)は、スクラップとして除去されます。
材料を押さえながら切斷するため、切斷加工にくらべてソリが発生しません。

切り欠き加工(ノッチング加工)

金屬加工とせん斷加工について|切り欠き加工(ノッチング加工)

切り欠き加工は、金屬の板の縁の一部を「切り落とす」ブランク加工です。
おおきな板材の端の一部分を「切り欠く」ことで、所定のカタチに成形します。

「ノッチング加工」ともよばれ、ブランクの補強や工數削減のため利用されます。

切り込み加工(スリット加工)

金屬加工とせん斷加工について|切り込み加工(スリット加工)

切り込み加工は、金屬の板に「切り込み」を入れるブランク加工です。
「スリット加工」ともよばれ、曲げ加工と組みあわせて利用されます。

穴あけ加工(ピアス加工)

金屬加工とせん斷加工について|穴あけ加工(ピアス加工)
金屬加工とせん斷加工について|穴あけ加工(ピアス加工)

穴あけ加工は、金屬の板に「穴」をあけるせん斷加工です。
「ピアシング」や「ピアス加工」ともよばれます。

プレス機械で金屬を打ち抜き、金型の上に殘った金屬が製品になります。
(打ち落とされた方の金屬片は、スクラップとして排出されます)

穴あけを応用した「追い抜き加工」「ニブリング加工」によって、複雑なカタチの穴あけ加工ができます。

追い抜き加工

金屬加工とせん斷加工について|追い抜き加工

追い抜き加工は、金屬の板をずらしながら連続的に穴をあける加工方法です。
丸型?角型などの汎用金型を使いながら穴を重ねることで、さまざまなカタチの穴をあけます。

ニブリング加工

金屬加工とせん斷加工について|ニブリング加工

ニブリング加工は、金屬の板を細かくずらしながら連続的に穴をあける加工方法です。
丸型の汎用金型を使い、「追い抜き加工」よりも狹いピッチの穴を重ね穴をあけます。

穴の縁が粗くなるため仕上げ加工が必要で、ピッチが細かいほど金型の摩耗がおおきくなります。

コンパウンド加工(総抜き加工)

金屬加工とせん斷加工について|コンパウンド加工(総抜き加工)
金屬加工とせん斷加工について|コンパウンド加工(総抜き加工)

「打ち抜き」「穴あけ」を同時におこない、工程を短縮する加工方法です。
1回のプレスで済むため加工位置のズレがなく、精度の高い部品が成形できます。

金型の構造が複雑になるため、メンテナンスコストが増えることがあります。

トリミング加工(縁切り加工)

金屬加工とせん斷加工について|トリミング加工(縁切り加工)
金屬加工とせん斷加工について|トリミング加工(縁切り加工)

トリミング加工は、板材の周囲の余肉を「切り落とす」せん斷加工で、「縁切り加工」ともよばれます。

精密せん斷加工

金屬加工とせん斷加工について|精密せん斷加工

精密せん斷加工は、切り口をキレイに仕上げる精度の高いせん斷加工です。

通常のせん斷は、斷面の「ワレ」のため、切削加工とくらべ切り口が粗く精度が劣ります。
切り口が粗い部品は、故障や騒音の原因にもなります。

精密せん斷では、「ワレ」のない美しく滑らかな切り口を実現。
切削加工研削加工などの後工程が不要になり、精密部品のプレス加工ができるようになります。

シェービング

金屬加工とせん斷加工について|シェービング

シェービングは、せん斷済みの板材の切り口を「薄く削り取る」精密せん斷加工です。

せん斷用の金型を使い、斷面を薄く(板厚の5~10%)削り、縁を仕上げます。
板材が厚い場合は、シェービングを何度も繰り返します。

追加工のため工數がかかりますが、汎用のプレス機械金型を使って加工ができるのが特徴です。
(シェービングプレスとよばれる専用の機械もあります)

排出されるスクラップが薄くて除去しいくいため、キズや噛み込みによる加工不良に注意が必要です。

仕上げ抜き

金屬加工とせん斷加工について|仕上げ抜き

仕上げ抜きは、金型のはめあいをちいさくして「打ち抜く」精密せん斷加工です。

基本工程は「打ち抜き加工」や「穴あけ加工」とおなじですが、金型を丸く面取りし、上型下型のクリアランス(スキマ)をちいさくすることで、「ワレ」の発生を防ぎます。

汎用のプレス機械で加工ができるため、簡易的な精密せん斷方法として使われます。

金型のクリアランスがちいさいため、金型同士の接觸によるチッピング(欠け)に注意が必要です。

ファインブランキング(FB)

金屬加工とせん斷加工について|ファインブランキング(FB)

ファインブランキングは、板材に圧力をかけながら「打ち抜く」精密せん斷加工です。

金型の上型と下型のクリアランス(スキマ)をちいさくし、板材を上下から強く押さえることで、「ワレ」の発生を防ぎます。

板材には、「金型」「板押さえ」「逆板押さえ」の3つの圧力がかかります。
金屬は、四方から均等に圧縮することによって、変形力が高くなります(靜水圧効果)。

ファインブランキングでは、プレス加工ではむずかしいミクロン単位の精密加工ができます。
難加工材のプレス加工もでき、鍛造切削加工からの置き換えも増加しています。

せん斷加工で使われるプレス機械

金屬加工とせん斷加工について|せん斷加工で使われるプレス機械

せん斷加工には「プレス機械」や、切り方に合わせたさまざまな機械が使われます。

プレス機械
切る?抜く?曲げるなどさまざまな工程で使われています
「プレス機械」について解説
シャーリングマシン
切斷加工に特化した、プレス機械です
「シャーリングマシン」について解説
タレットパンチプレス
打ち抜き加工?穴あけ加工に特化した、プレス機械です
「タレットパンチプレス」について解説
ファインブランキングプレス
精密せん斷に特化した、プレス機械です
「ファインブランキングプレス」について解説

せん斷加工の仕組みとバリの原因

金屬加工とせん斷加工について|せん斷加工の仕組みと用語
金屬加工とせん斷加工について|せん斷加工の仕組みと用語

せん斷加工の切り口には、だれ?せん斷面?破斷面?バリ が現れます。
製品の品質におおきく影響する「切り口」を、せん斷の工程を通して解説します。

せん斷の工程

せん斷加工のはじめと、金型のクリアランス

下型の「ダイ」の上に板材を置き、上型の「パンチ」を押しつけます。

パンチとダイの間には、「クリアランス」とよばれるスキマが設けられており、クリアランスの量は、せん斷の切り口の良し悪しや金型の壽命を左右します。

? クリアランスが適切な場合

素材がスムーズに分斷され、切り口が整います。
せん斷面(きれいな面)がおおきくなり、だれ?バリ はちいさくなります。

× クリアランスがおおきい場合

素材同士が引きちぎられ、おおきな だれ?バリ が発生します。

× クリアランスがちいさい場合

せん斷におおきな圧力が必要になります。
ワレが発生しやすく、破斷面(荒い面)がおおきくなり、金型の焼き付きや摩耗で工具壽命が短くなります。

1.だれの発生

材料にパンチを押しつけると、表面が押し込まれて「だれ」が発生。
「だれ」は下側に引っ張られ、丸みを帯びたなめらかな面になります。

2.せん斷面の発生

さらにパンチを押しつけると、パンチが材料にめり込み、「せん斷面」が発生。
「せん斷面」は、光沢のあるキレイな垂直面で、表面には金屬の結晶が筋狀にながれています。

クリアランスが適切なほど、おおきなせん斷面が発生します。

3.破斷面の発生

パンチを押しつづけると、せん斷面からワレが発生して材料が分斷されます。

ワレによってできた面を「破斷面」とよびます。
「破斷面」は凹凸がはげしく、垂直にはなりません。

4.バリ(かえり)の発生

パンチを最後まで押し切ることで、せん斷が完了します。

押し切る際、材料から突起が飛び出し、鋭利な「バリ(かえり)」が発生。
「バリ」は加工不良の原因となるため、後工程で除去されます。

また製品に混じると、キズやケガの原因となり危険です。

バリを防ぐには、金型の摩耗管理やクリアランスの調整がかかせません。

せん斷加工のスクラップ処理と、スクラップカッタ

金屬加工とせん斷加工について|せん斷加工のスクラップ処理と、スクラップカッタ

せん斷加工では、切り落とされたスクラップ(余肉)の処理がかかせません。

スクラップはせん斷加工後に落とされ、シュートやコンベアで排出。
おおきなスクラップは、「スクラップカッター」でちいさく切斷され、回収されます。

スクラップが金型に殘ると、自動プレスのライン停止の原因になり、製品へ混入するおそれもあります。

金型內部にスクラップが詰まる現象を「かす詰まり」、金型の上にスクラップが乗ってしまう現象を「かす上がり」とよびます。

せん斷加工とは?まとめ

この記事では「せん斷加工」の種類や、せん斷の過程でできる「バリ」や「だれ」の仕組みについて紹介しました。

せん斷加工はプレス加工を代表するシンプルな加工方法ですが、ファインブランキングなどの精密せん斷の登場によって、最終製品の成形ができるまでに進化しています。

せん斷の仕組みを知ることで、プレス加工方法の選定の參考になればうれしいです。

〈 せん斷加工の関連キーワード〉

プレス加工 塑性加工

この記事の編集者?プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大學修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界?FA業界のWebマーケティングに攜わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科學省「學校と地域でつくる學びの未來」參加企業

所屬
SNS?運営サイト

せん斷加工の関連記事