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工具材質とは|超硬からハイス?サーメット?CBNまで工具材質を解説

工具材質とは|超硬からハイス?サーメット?CBNまで工具材質を解説

更新日時:
2021/09/11 (2020/04/23 公開) 編集者:甲斐 智
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周辺機器 | 工具 | 除去加工 |
       

NC工作機械の切削工具として用いられるフライス?エンドミル?ドリル?バイトには、さまざまな材質が使われています。

工具に使われる材質は、「硬さ」と「ねばり強さ」によって、加工用途や切削能力が変わります。
溫度特性や耐摩耗性も、材質によっておおきく変わるため、 加工ワークや加工內容によって使い分けが必要 です。

この記事では、NC工作機械で使われる工具材質の種類や用語を、かんたんに紹介します。

工作機械と工具材質について| NC工作機械の加工精度を発揮するためには、工具材質の見極めが重要です!
NC工作機械の加工精度を発揮するためには、工具材質の見極めが重要です!

工具の硬さとねばり強さについて

工作機械と工具材質について|工具の硬さとねばり強さについて

工具には、 「硬度」と「じん性」 のふたつの特徴があります。
加工する機械や加工內容によって、使い分けが重要です。

硬度(工具の硬さ)

工具の硬さは、「硬度」によって表されます。
硬い工具は摩耗に強く、切れ味が高いのが特徴です。
ねばりが弱いため、チッピング(欠け)が起こりやすくなります。

硬度の高い工具はCNCマシニングセンタでの高速加工や、軽切削に向いています。

じん性(工具のねばり強さ)

工具のねばり強さは、「じん性(靱性)」によって表されます。
ねばり強い工具は衝撃や振動に強く、チッピング(欠け)が起きにくいのが特徴です。
硬さが低いため、工具の摩耗は早くなります。

じん性の高い工具は汎用機械での低速加工をはじめ、幅広いNC工作機械で使われています。

さまざまな工具材質の種類

工作機械と工具材質について|さまざまな工具材質の種類

代表的な工具材質には「高速度鋼(ハイス)」「超硬合金(超硬)」「サーメット」などがあります。

材質一覧(硬度順 低い→高い)

工具の材質の見分け方?
工具は「材質」や「コーティング」によって、さまざまな色や質感があります。
見た目ではほとんど見分けがつきませんが、磁石のつきや重さで簡易的に判別することができます。

?高速度工具鋼(ハイス) = 磁石が強くつく
?超硬 = 磁石が弱くつき、重い
?サーメット = 磁石が弱くつき、軽い
?セラミック = 磁石がつかない

炭素工具鋼と合金工具鋼

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炭素工具鋼(SK)は、炭素を1.5%ほど含んだ低コストの材質。
合金工具鋼(SKS)は、炭素工具鋼にタングステンやクロムを加えた低コストの材質です。

200?300℃の低溫で硬度が低下するため、低速の切削加工やハンドツールで使われます。

高速度工具鋼(ハイス)

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高速度工具鋼は、鋼にクロムやタングステンなどを加えた「SKH」とよばれる材質です。
じん性が高く、刃先も加工しやすいため、一般的な切削工具や汎用工具として多く使われています。

高速度工具鋼:
カンナ、ヤスリ、かみそり等に使われる炭素工具鋼、バイト、タップなど高硬度の被加工物を切斷、切削する高速度工具鋼、金屬やプラスチック成形の金型用の合金工具鋼に分類します。
中でも高速度工具鋼はタングステン、モリブデン、クロム、バナジウムなどの元素を多量に含み、耐熱性、耐摩耗性に優れています。
引用元: 一般社団法人 日本鉄鋼連盟「高速度加工用と金型用」

鋼のなかでも耐熱性が高く、高速加工にも対応できるため、ハイス(ハイスピード鋼)ともよばれます。
(刃先の溫度が600℃を超えないよう、切削速度 30m/min 以下での加工が目安です)

耐摩耗性に優れていることから、金型の材料としても使われます。

高速度工具鋼(ハイス)の種類

高速度工具鋼には、おおきく〈タングステンハイス〉〈モリブデンハイス〉〈コバルトハイス〉に分けられます。

〈タングステンハイス〉

タングステンハイス(SKH2~SKH10)は、タングステンを多く含んだ材質です。
タングステン(18%)、クロム(4%)、バナジウム(1%)を含んでいます。

一般的な切削工具や、バイトに使われています。

〈モリブデンハイス〉

モリブデンハイス(SKH51~SKH59)は、タングステンの代わりにモリブデンを多く含んだ材質です。
タングステンハイスにくらべ、「硬度」「じん性」が優れています。

一般的な切削工具や、フライス?ドリルに使われています。

〈コバルトハイス〉

コバルトハイスは、モリブデンハイスにコバルトを加えた材質です。
モリブデンハイスにくらべてさらに硬度が上がり、耐摩耗性に優れます。

コバルト粉末を粉末冶金で焼き固めた「コバルト粉末ハイス」もあります。

超硬合金(超硬工具)

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超硬合金はタングステンにコバルト粉末を加えて、粉末冶金で焼き固めた材質です。

航空機部品などの難削材や、金型加工の切削工具に使われます。
硬度が高く耐熱性に優れるため、マシニングセンタの高速加工に多用されています。

高速度工具鋼(ハイス)にくらべ、加工精度が高いですが、振動に弱く欠けやすいため、汎用機械などの振動のおおきな機械には向きません。

欠け防止のコーティングを施した「コーテッド超硬合金」なども市販されています。

コーテッド超硬合金は、チタンやダイヤモンドなどの硬い物質をコーティングすることで、硬度やじん性が飛躍的にアップ。
コーティングには、PVD法(物理蒸著)やCVD法(化學蒸著)などの方法があります。

超硬合金の種類

超硬合金には、加える金屬や粒子のサイズによって、〈K種〉〈P種〉〈M種〉と、超微粒子超硬合金に分けられます。

〈K種〉

K種は、鋳鉄非鉄金屬の切削で使われる材質です。
じん性に優れています。

〈P種〉

P種は、一般的な鋼材の切削で使われる材質です。
K種に炭化チタンや炭化タンタルを加えた合金で、高速加工に向いています。

〈M種〉

M種は、鋳鉄ステンレスなど、はば広い切削に対応できる材質です。
K種とP種の中間の性能を発揮します。

〈超微粒子超硬合金〉

超硬合金の粒子を、さらにちいさくして焼き固めた材質です。
「硬度」と「じん性」を兼ね備え、欠けやすい小徑のエンドミルや、バイトのチップなどに使われています。

サーメット

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サーメットは超硬合金のなかまで、炭化チタンに結合剤を加えて、粉末冶金で焼き固めた材質です。

サーメットの語源はセラミックス(Cera mics)金屬(Metal)で、超硬合金とセラミックスの中間の性能を発揮します。

超硬合金にくらべさらに硬度が高く、耐熱性に優れています。
鉄との親和性が低いため、刃先に切粉が溶著しにくく、光沢のある仕上げ加工にも最適です。
高速度工具鋼(ハイス)にくらべ刃先が欠けやすいため、重切削には向いていません。

欠け防止のコーティングを施した「コーテッドサーメット」なども市販されています。

セラミックス

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セラミックスは、アルミナをベースに、粉末冶金で焼き固めた材質です。

耐熱性が1000℃以上と高いため、ドライ加工セミドライ加工などの超高速加工(500~1000m/min)でも使われます。
1000℃以上の加工では、切削の先端は真っ赤に発熱。
また熱膨張率が低いため、高速加工でも加工精度が安定します。

鉄との親和性が低いため、刃先に切粉が溶著しにくく、光沢のある仕上げ加工にも適しています。
しかし高速度工具鋼(ハイス)にくらべ刃先が欠けやすいため、重切削には向いていません。

欠け防止のため、セラミックスの上からさらにセラミックスをコーティングした「コーテッドセラミックス」なども市販されています。

セラミックスの種類

〈アルミナ系(白セラ)〉

アルミナ(酸化アルミニウム)を主成分とした、白い工具材質です。
鋳鉄や焼入れ鋼などの仕上げ加工に適しています。

〈炭化チタン系(黒セラ)〉

アルミナ(酸化アルミニウム)に炭化チタンを加えた、黒い工具材質です。
じん性が高く、欠けにくいのが特徴です。

〈窒化ケイ素系〉

窒化ケイ素を主成分とした、灰色の工具材質です。
1000℃以上でもじん性が低下しないため、耐熱合金の加工に適しています。

CBN(人工ダイヤモンド)

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CBNはダイヤモンドに似せた人工物を使った、ダイヤモンドに次ぐ硬さの材質です。
窒素とホウ素をベースに、粉末冶金で焼き固めた化合物で、正式には「立方晶窒化ホウ素(Cubic Boron Nitride)」とよばれます。

耐熱溫度が1300℃と高く、焼入れ鋼や耐熱合金の加工もできます。

ダイヤモンド切削工具(単結晶ダイヤモンド)

ダイヤモンドは、非鉄金屬の超精密加工で使われる、非常に硬い材質です。
耐熱溫度が600℃と低く、鉄と化學反応を起こすため、鉄鋼の加工には向きません。

単結晶からつくりだされた工具で刃先が鋭利なため、仕上げ加工や鏡面加工などで使われます。

PCD(焼結ダイヤモンド)

PCDは、人造ダイヤモンドの粉末を、金屬やセラミックスと一緒に焼き固めた材質です。
ダイヤモンドよりもじん性が高く、チッピング(欠け)が起こりにくいのが特徴です。

超硬合金?サーメット?セラッミックスなど「工具自體」の切削にも使われます。
ダイヤモンドとおなじで、鉄と化學反応を起こすため、鉄鋼の加工には向きません。

工具材質とは?まとめ

この記事では、NC工作機械で使われる工具材質の種類や用語を紹介しました。
NC工作機械の加工精度を発揮するためには、工具材質の見極めが重要です。

この記事が、工具選びのヒントになればうれしいです。

〈 工具材質の関連キーワード〉

周辺機器 工具 除去加工

この記事の編集者?プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大學修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界?FA業界のWebマーケティングに攜わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科學省「學校と地域でつくる學びの未來」參加企業

所屬
SNS?運営サイト

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